気功教室 健身道 の日記
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気功師のよもやま話 『庚申と夏目漱石そしてこころの謎』
2015.11.03
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気功師です。
庚申のお話が続きます。
夏目漱石は庚申の日に生まれ、本名は夏目金之助といいます。
当時、庚申の日に生まれると大泥棒になるという俗信があり、その日生まれた場合は名前に金や金偏のつく字を使うと難を逃れるとされ、厄除けの意味で金の字が入れられたそうです。
さて、以前の日記で、渡部昇一氏が、「小説には、人間のいちばん深いところで心を揺さぶる力がある」と述べておられることをご紹介しました。
私は、夏目漱石の小説『こころ』を読む時、確かに、このような力を感じます。
『こころ』は、国語の授業でも扱われることが多く、ほとんどの方は中学生や高校生の時に読んだことがあると思います。
しかし、読んでもよく分からなかったが本音ではないでしょうか。
この小説は解説を読んでも、人によって解釈が違います。また、同じ人でも読む時によって、受ける印象が違うのです。
迷路から抜け出したと思っても、また謎が生まれる、不思議な小説です。
私が同じ印象を受ける書物として、歎異抄と般若心経があります。
歎異抄と般若心経もたくさんの解説本がありますが、解釈は様々です。
これらは、人間の心の奥底を徹底的に見つめたものであるという共通点があると思います。
そして、人間のいちばん深いところで心を揺さぶる力があるのです。
読む度に新たな思索を誘うから、また読みたくなるし、読まれ続けている。そんな書物だと思います。
『こころ』は色々なものが出版されておりますが、写真は『こころ』と『坊っちゃん』の二大作品を一冊に収めた文春文庫のものです。
では、本日のお話はここまで。